乾たつみのコスコラ!! ~その97~ 無駄のあるコスプレ
こんにちは、CureWorldCosplayの乾たつみです。
先日、鶴川にある「武相荘」と言う、白洲次郎旧宅を改造した博物館に行ってきました。
昭和の中期から平成まで私宅として使用されていた家ですが、納屋の2階を改造してバーカウンターを作ってみたり、趣味の工房があったり、窓に面した小机と部屋を囲むように本棚が並べられた書斎があったりで、レイヤー的にも、グッとくる作りの家でした。
その展示物に交じって、奥さんの随筆家、白洲正子さんのエッセイ「無駄のある家」が掲げられていました。
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鶴川に家を買ったのは(中略)この辺でざらにあった普通の農家である。
手放すくらいだからひどく荒れており、それから三十年かけて、少しづつ直し、今もまだ直し続けている。
もともと住居はそういうものなので、これでいい、と満足するときはない。
綿密な計画を立てて、設計してみた所で、住んでみれば何かと不自由なことが出て来る。
さりとてあまり便利に、ぬけ目なく作りすぎても、人間が建築に左右されることになり、生まれつきだらしのない私は、そういう窮屈な生活が嫌いなのである。
俗にいわれるように、田の字に作ってある農家はその点都合がいい。
いくらでも自由がきくし、いじくり廻せる。
ひと口にいえば、自然の野山のように、無駄が多いのである。(後略)
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この文章に強く惹かれました。
彼女の場合は家についての話ですが、同じ考え方がコスプレにも通じると思いました。
コスプレはキャラに寄せて努力していますが、初出しのキャラで満足のいく写真が撮れるかと言うと結構少ない気がします。
ガチガチに気合入れて準備しても、まだ不満点が残る。
もちろん最初の努力は必要ですが、何度も同じキャラのコスを繰り返して行くうちに、やがて奇跡の一枚が撮れると思います。
「無駄のあるコスプレ」で、少しづつ、無駄を埋めていくのもコスプレの楽しみ方だと、私は考えます。
気負わず、焦らず、ゆっくりと好きな物を好きなだけ。そんな「コスプレ」が好きですね。
皆さんは、如何ですか?
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乾たつみ(Tatsumi Inui)
Cure WorldCosplayの中の人。コスプレ歴は四半世紀のコスプレイヤー。
世界で開催されているコスプレコンテストの審査員やメディアでコスプレの解説員を務める傍ら、コスプレステージ普及にも努めている。
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