Tatsumi’s Cosplay Column vol.76
こんにちは、CureWorldCosplayの乾たつみです。
最近は、コスプレステージでパフォーマンスするコスプレイヤーやチームが増えてきました。
皆さん、それぞれ作品やキャラクターが大好きで世界観にハマるだけでなく、観客にも作品の世界観を伝えようと日々努力されています。
コスプレって『作品愛の産物』だとつくづく実感します。
動画は写真と違って動きだけではなく「音」も入ってきます。
作品愛が強いが故に、作品で使われている主題歌や挿入歌を使用したい衝動に駆られるのは当然のことだと思います。
が、しかし。
主題歌や挿入歌だって、それを作り出したアーティストや作詞、作曲家の方々がいます。
彼らは「歌」や「曲」を売って生活していて、みだりに使用されない権利を保持しています。
その権利を保護するのが、楽曲の『著作権』です。
作品が好きだから、作品の主題歌を使って動画作りました!それを動画サイトにアップしました。観てください!
ってのは、自分が作ったコスプレ写真を他人が自分名義で公開していると同じ行為になります。
あまり気持ちの良いものではありませんよね?
「じゃあ、絶対に自分たちのステージでは作品の曲は絶対に使えないの?」となると、ケースによっては、使える場合があります。
自分は、法律の専門家や弁護士ではないので詳しくは書けませんが、楽曲を使用する際の最低限のルールと使用可能なケースを紹介したいと思います。
楽曲をステージで使用する場合「日本音楽著作権協会(JASRAC)」に著作楽曲使用料をお支払いすると楽曲を流すことが出来ます。
日本音楽著作権協会(JASRAC)に、何月何日、どこで、どれくらいの集客キャパで、どれくらいの収益があって、どの曲を、何分間、録音物か演奏かなどの、様々な情報を添えて申請します。
申請が許諾された後、公演後に使用報告をして請求が来ますので、既定の料金を支払えばOK。
ただし、オリジナルの音源(CD)を使用する場合には、編曲は使用出来ません。
先ほど、オリジナル音源では、編曲出来ないと書きましたが、それには理由があります。
JASRACが使用許諾している権利は「作詞家」や「作曲家」の著作権のみとなります。
つまり、歌っているアーティストや演奏者、レコードレーベル会社の権利は含まれません。
コスプレ写真が、被写体なる「コスプレイヤー」と撮影した「カメラマン」にそれぞれ権利があるように、1曲の中には、様々な人たちの権利が含まれています。
CDや曲を買って、私たちに得られる権利は「聞く」権利のみとなります。
アーティストや演奏者、レコードレーベル会社の知的財産権を『著作隣接権』と言います。
原曲をベースに編曲アレンジすると『著作者人格権』の侵害になります。
昨今、個人が配信出来る動画サイト(Youtubuやニコニコ動画など)が出てきて気楽に、ステージを撮影した動画をアップロード出来るようになりました。観客のいるステージ上で、オリジナル音源(CD)を流すだけであれば、JASRACへの申請のみで楽曲の使用は可能です。
が、インターネットでコスプレパフォーマンス動画を配信する場合、オリジナルの音源(CD)を使用するには「送信可能化権」が必要になります。
「送信可能化権」は『著作隣接権』を持つ、アーティストや演奏者、レコードレーベル会社が保有しています。
つまり原曲をインターネット上に流そうとすると、アーティストや演奏者、レコードレーベル会社からの許可が必要と言う事です。
「送信可能化権」は、JASRACの様に取りまとめて団体が無いので、直接アーティストや演奏者、レコードレーベル会社に許可を取りに行くしかない…
ニコニコ動画では、「送信可能化権」を予めドワンゴ様が取得されており、ニコニコ動画内のコンテンツでのみ使用可能な楽曲を取り入れています。
https://license-search.nicovideo.jp/
ありがたいですねぇ。
だからと言って、編曲はダメですよ。
直接アーティストや演奏者、レコードレーベル会社に許可を取りに行く方法と、もう一つ。
『自分で演奏する』方法があります。
自分で演奏したり、DTM(ディスクトップミュージック)で作成した場合、『著作隣接権』は自分に発生します。
『著作隣接権』とは、「著作物を伝達する上で必要になる権利」を伝達する立場の人に与えられている著作権なので、自分が演奏者の場合自分になります。
ただし、カラオケで歌った歌を録音して流すのはNG。カラオケの伴奏はカラオケ会社の『著作隣接権』があるからです。
コスプレパフォーマンスステージで楽曲を使用するには、JASRAC申請した上で、
1.ネット配信しない場合には、編曲なしのオリジナル音源(CD)を使用可能。
2.ネット配信する場合、アーティストや演奏者、レコードレーベル会社に「送信可能化権」を求める。(結構お金が掛かるし、NG出しされる場合が多い)
3.ネット配信する場合、自分で演奏したり、演奏したものを録音して使用する。(レコードレーベルによってはNG出ししている場合もあるので要確認)
となります。
ネット配信を許諾したフリー音源を使用するのが、一番確実ですが『作品愛』で、どうしても世界観を楽曲と共に表現したい場合には、上記のまとめに沿って権利者の許諾を取りに行くことをお勧めします。
一生懸命に作品を応援して、版元様にお叱りを受けるなんて、これほど報われない事はないですしね。
<<コラム Vol.75へ戻る | go back to Vol.75>>
乾たつみ(Tatsumi Inui)
Cure WorldCosplayの中の人。コスプレ歴は四半世紀のコスプレイヤー。
世界で開催されているコスプレコンテストの審査員やメディアでコスプレの解説員を務める傍ら、コスプレステージ普及にも努めている。
【SNS】
Cure WorldCosplay @tatsumi_inui
Twitter @tatsumi_inui
Facebook @tatsumi.coser
Weibo @2524198910